ボトルブラシポリマーの特性解析

ボトルブラシポリマーは高密度かつ一定の間隔で側鎖が連なったグラフトポリマーの一種です。ブラシポリマーは、より小さな構造を有し(小さな流体力学的半径)、分子量の等しい直鎖状の類似高分子よりも遅く溶出します。従って、標準試料を用いた較正曲線に基づく一般的なGPCではブラシポリマーの正確な分子量を求めることができません。線状でない複雑な構造を持つ高分子の場合には、光散乱法を用いて絶対分子量を求めることが非常に重要です。

最近では、マクロモノマーの開環メタセシス重合により高分子量かつ低分散である様々なボトルブラシポリマーが合成されています。

本アプリケーションノートではGPCシステムに多角度光散乱検出器(DAWNシリーズ)粘度検出器(ViscoStarⅡ)示差屈折率検出器(Optilab T-rEX)を接続し、ブラシポリマーの特性解析を行った例を紹介します。

図1は、分布の狭いポリスチレン(PS)ブラシポリマーと分布の広い直鎖状ポリマーの溶出体積と分子量の関係を示しています。各々のクロマトグラフは示差屈折率検出器から得られたものです。両者を比較すると、同じ溶出時間において、ブラシポリマーは直鎖ポリマーより大きな分子量を持つことがMALSの測定により確認できます。さらにボトルブラシポリマーは、多分散線状PSと比べて、各溶出時間に対する分子量の変化が大きくないことから分布が狭いことが確認できます。これら2種のポリマーのMark-Houwink-Sakuradaプロットは、同じ分子量におけるブラシポリマーの固有粘度が直鎖状のものに比べて著しく小さいことを示しています(図2)。

本ノートは、3種のWyatt製検出器が、非線状構造を持つ高分子をキャラクタライズするのに非常に有用なツールであることを示しています。

 

 

(図1)

 

図1:多分散直鎖ポリスチレンと低分散ポリスチレンブラシポリマーのクロマトグラフと溶出体積における光散乱法で測定した分子量

 

 

(図2)

図2:両試料のMark-Houwink-桜田プロット

 

 

このアプリケーションノートは、California Institute of TechnologyのRobert H Grubbs先生のご厚意により、Wyatt Technology社に提供されたものです。

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