ゼータ電位は、溶液中に分散しているナノ粒子やタンパク質の分散安定性評価に広く使われています。また、粒度分布測定もナノ粒子やタンパク質の分散状態を評価する上で、必須となる情報の1つです。Mobiusは、1台で電気泳動光散乱法によるゼータ電位測定と動的光散乱法により粒度分布測定に対応する世界最高スペックのゼータ電位・粒度分布測定器です。
高出力緑色半導体レーザーを標準搭載。独自のMP-PALS(Massively Parallel-Phase Analysis Light Scattering)法の採用により高感度、高速測定を実現します。
測定モードやセルを変更することなく、同一のセル、一度の測定でゼータ電位と粒度分布の双方を測定できます。
HPLC用の送液ポンプ及びオートサンプラーと接続し、自動測定に対応します。
ゼータ電位測定の際に掛ける電圧は、従来の1/10程度。かつ短時間測定を実現しますので、試料に殆ど負荷を掛けることなく測定が可能です。
170μL容量のフローセル及び65μL容量のディップセル(オプション)に対応します。ディップセルを用いると用意にゼータ電位と粒度分布の同時測定を行えます。
ディップセル
加圧装置Atlas(オプション)を付加することにより、従来のゼータ電位測定では困難であった高塩濃度溶液条件下でのゼータ電位測定を実現します。
Atlas
電気泳動光散乱法は、測定試料溶液に電場を発生させることで粒子を泳動させ、泳動した粒子の移動方向及び移動速度を光散乱法により測定する手法です。移動中の粒子にレーザー光を照射すると、下図に示すように、ドップラーシフトした光散乱を引き起こします。この時、散乱光は、移動する粒子の方向により、赤か青のようにシフトします。Mobiusは、粒子の移動速度vと相関のあるこの散乱光のドップラー周波数シフトΔfを測定しています。
ドップラー周波数シフトΔfは、レーザー光の周波数と比較すると非常に小さな値です。Mobiusは、31個の検出器アレイを用いたMP-PALS法を用いて、参照光と散乱光間の干渉パターンをモニタリングし、Δfを正確に求めることができます。また多角度のシグナルを同時測定することで、シグナルにおける粒子拡散の影響を低減させ、信頼性の高い測定を実現します。この技術がタンパク質のように移動度が小さく、かつ散乱の弱い試料の測定を可能とします。Δfを求めることで、粒子の移動速度vが求まります。電気移動度vを電場で除することで電気移動度μEが求まります。電気移動度μEとゼータ電位の関係は、スモルコフスキーの式やヒュッケルの式で定義づけされており、そこからゼータ電位を求められます。
MP-PALS法概略図
光源 | 50mW DPSSレーザー |
---|---|
レーザー波長 | 532nm |
検出 | 31個の検出器による多角度検出 |
検出タイプ | マルチ素子シリコンフォトダイオード |
DLS機能 | 搭載可能(0.3 ~ 1000nm)※オプション |
セル | PEEKフローセル(水系、溶剤系) |
微量測定用セル(水系、溶剤系) | |
セル容量 | 170µL(フローセル使用時) |
65µL(微量測定用セル使用時) | |
温度制御範囲 | 4℃~70℃ |
対応イオン強度範囲 | 0~50mS/cm |
測定移動度範囲 | 全範囲 |
測定対応粒子径範囲 | 1~1µm |
測定感度 | 1mg/mL リゾチーム |
消費電力 | 400W(最大) |
電源 | 90~250V@50~60Hz |
寸法・重量 | 210(H)×360(W)×590(D)mm、19㎏ |