ATRPとクリックケミストリーによるマルチセグメントブロック共重合体のSEC-MALS粘度測定

ATRPとクリックケミストリーによるマルチセグメントブロック共重合体のSEC-MALS粘度測定(要約)

 

原子移動ラジカル重合(ATRP)により合成したブロック共重合体をクリックケミストリーによりカップリングし、マルチセグメントブロック共重合体を合成する手法にSEC-MALS-粘度-RI測定を活用した例です。従来のSEC法では得ることのできなかった正確な分子量測定を実現しています。

この例では、二官能価ポリエチレンオキシド(PEO)マクロ開始剤からスチレンのATRPを経てポリスチレン(PS)とポリエチレンオキシドから成るトリブロック共重合体を合成し、これをDMF中のアジ化ナトリウムと反応させることで、末端の臭素をアジ化物イオンで置換した(N3-PS-PEO-PS-N3)を合成しています。これをプロパギルエーテルとクリック反応させることで、マルチセグメントブロック共重合体((PS-PEO-PS)X)を合成しています。

単一の高分子鎖にマルチブロックが存在すると、一般的なSEC測定では正確な分子量測定ができず、PEOとPSのトリブロック共重合体出発物質の正確な分子量を得ることはできません。SECシステムに多角度光散乱検出器(MALS)、粘度検出器、示差屈折率測定器を繋げることで、正確な分子量を測定できます。ここでは、出発物質の分子量が6680g/molと測定できています(Fig1)。クリックカップリングは、逐次重合様式で進行する重付加の一種ですので、反応する末端基のモル比率を同一にしないと高分子量体が得られません。従って出発物質のトリブロック共重合体の正確な分子量を知ることが重要になります。Fig2では、クリックカップリングが効率よく進行し、高分子量体(Mn=33,100g/mol)が生成していることが明らかになりました。

クリックケミストリーとATRPの組み合わせは、マルチセグメントブロック共重合体の合成に利用され、ここでは、SEC-MALS測定によりトリブロック出発物質の絶対分子量が測定できたことで、5-7の重合度の共重合体、すなわち、PEOやPSの単一高分子鎖が最大21含まれるマルチブロック共重合体が合成できたことが確認できました。

 


Fig1.トリブロック共重合体出発物質(N3-PS-PEO-PS-N3)の分子量分布曲線

 

 


Fig2.カップリング後 (PS-PEO-PS)x-の分子量分布曲線

 

 

詳細は、PDFマーク.png (←こちらをクリック※英文原稿)をご覧ください。

 

本資料は、Kryzysztof Matyjaszewski先生(Carnegie Mellon University)よりWyatt社にご提供頂いたものです。

 

 

 

 

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