最も一般的なポリマーであるナイロン(Nylon)は、強度が非常に高く弾力性に富んでいるため化学繊維の材料として広く普及しています。 ナイロンの特性解析は、通常分子量分布測定(GPC)により分析を行いますが、この方法は標準試料を用いて作成した検量線を使用するため、得られる情報は標準試料に換算した相対分子量だけです。
多角度光散乱検出器(DAWN DSP)とGPC装置を接続することにより検量線を作成する必要がなく、またナイロンとカラムゲルとの相互作用を意識せず絶対分子量や分子サイズなどの情報を得ることができます。
本分析では、光散乱検出器DAWN DSPは波長488nmの10mWアルゴンイオンレーザータイプを使用しています。 また、ナイロン固有の屈折率増加ファクターであるdn/dc値は、488nmの干渉型屈折計Optilabを用いて測定しました。 尚、本データはKolon社(韓国)よりご提供頂きました。
表1:ナイロンの絶対分子量の測定結果
使用溶媒:クロロホルムとメタクレゾール混合溶媒 流速:0.916ml/min
Peak range | 13.572 - 19.007 mL |
No. of Slices in Peak | 357 |
Injected Mass | 1.667 x 10-4 mL |
Nn | (7.59 ± 0.8) x 104 g/mol |
Mw | (1.13 ± 0.03) x 105 g/mol |
Mz | (1.611 ± 0.11) x 105 g/mol |
Polydispersity Mw/Mn | 1.49 ± 0.17 |
図1:角度90°における光散乱検出器とRI(AUX)のクロマトの重ね書きです。 光散乱は高分子の方が感度が良く、RIは低分子の方が感度が良いことがわかります。
図2:分子量と溶出位置との関係を表しています。分子量の変化により多分散のポリマーであることがわかります。