GPC用のスチレンージビニルベンゼン系ゲルを充てんしたカラムで溶離液にDMFを用いてポリスチレンの測定を行った場合、THFを溶離液とした場合と比較し溶出が遅れる事が知られています。
ここではDAWN DSPを用いてTHF、DMF溶媒における分離の挙動を解析しました。 試料には米国商務省標準局より供給されている直鎖多分散ポリスチレンスタンダードのNBS706を用い、以下の条件で測定しました。
Sample: 0.198% NBS706 in THF 50μL | Sample: 0.0935% NBS706 in 10mM LiBr DMF 100μL | |||
Column | Shodex GPC KF-806 | Column | Shodex GPC KD-806 | |
Eluent | THF(Tetrahydrofuran) | Eluent | 10mMLiBr DMF(Dimetylformamide) | |
Flow rate | 1.0mL/min | Flow rate | 1.0mL/min | |
Column temp. | 26℃ | Column temp. | 26℃ |
図1は、各溶離液で測定したクロマトおよび分子サイズ(RMS Radius)と溶出位置の関係を示したものです。 DMF溶媒のクロマトは大きく遅れているのに対し、分子サイズと溶出位置の関係は、RMSの小さい領域を除いて良く一致しており、この領域ではTHF、DMFのどちらの溶媒の場合も分子サイズによる分離(SEC)が行われていることがわかります。 DAWNで求めたNBS706の絶対分子量(Mw)は、THFで286,000、DMFで283,000と良く一致した値がえられ、RI検出器から求めた回収率は100%となり、カラム内での残存は認められませんでした。
縦軸を分子の重量(Molar Mass)に変えて示したものが図2で両溶媒間で大きな違いが認められます。 これは SEC による分離がサイズによるもので、分子量によるものではないことを表しております。
図1、2を利用し各溶媒におけるMolar MassとRMS Radiusの関係を図示すると図3の様になり、同一Molar Massを持つ分子に注目するとDMF中では分子が収縮しRMS Radiusが小さくなっているものと推定されます。
このようにDAWN DSP を用いることによって、絶対分子量、分子サイズ の測定ができるとともに分離挙動の追跡、評価も可能となります。