メタロセン触媒法による樹脂の製造という革命的な方法が、昨今脚光を浴びています。 年間数億ポンドの樹脂が製造、販売されていますが、このうちのかなりの部分が近い将来メタロセン触媒法によって製造された樹脂に置き換えられるものと思われます。
また、この樹脂を安定化させ改質し、そして成型し易くために用いられる添加剤の需要も増えてくるものと思われます。 今後10年以内にメタロセン触媒法による製品が、ポリオレフィン全体の過半数を占めるようになり、これにより樹脂製造業者、添加剤製造業者、成型加工業者および末端消費者のすべてに大きな変化を及ぼすものと思われます。 メタロセン触媒法によるポリオレフィンは、高温でないと溶解しませんので、GPC(SEC)を用いてキャラクタリゼーションを行うためには高温用のGPC装置が必要です。 通常135~145℃で、トリクロロベンゼン(TCB)を用いて測定します。また、この場合に検出器の選定が重要になります。 ここでは、高温用miniDAWN(HTmD)を用いてメタロセン触媒を測定した例をご紹介します。
図1には、ASTRAソフトウェアを用いた、分岐メタロセンと直鎖ポリエチレンのプロットを示します。 分子量が同じ場合は分子サイズが小さいことから、メタロセンが分岐していることは明らかであるといえます。 ポリエチレンは、傾きが0.57でありランダムコイルに対応しています。 この測定では、高温GPC装置(Waters 150C)にHTmDを接続しています。 HTmDの光学系は、150Cの恒温槽内部に取り付けることができるので、150Cによる温度制御が可能です。 流量は0.490mL/minです。
図2では、3官能分岐がASTRAによって表示されています。 分子量が増えるにしたがって、分子あたりの分岐数も増えています。 HTmDを、高温GPCに接続することにより、分子量、分子サイズ、分岐度、分子あたりの分岐数、長鎖分岐などを直接測定することができますが、粘度計その他の分析機器ではこれらの量を直接測定することはできません。
図1:直鎖ポリエチレンサンプルはランダムコイルの形状をしています(傾き0.57)。一方でメタロセンサンプルの傾き(0.41)は分岐形状を示しています。
図2:ASTRAでは直鎖サンプルと分岐サンプルの比較により、分子あたりの分岐数を自動的に計算します。ここでは3官能分岐として計算されています。