マイクロバッチキャラクタリゼーション

ポリマーやバイオポリマーのキャラクタリゼーションを行う際、かならずしもGPC等の分離手段を用いる必要はありません。 実際、サンプルによっては分離手段が無かったり、サンプル自身の特性から分離できないことがあります。 このような場合、サンプルを分離、分画せずにバッチ法または“マイクロバッチ”法で測定を行うことができます。

DAWN(r)DSPかminiDAWN(r)のどちらかを用いてサンプルを直接フローセルに注入します。 注入には通常シリンジポンプを使い、光散乱データはワイアット社のASTRAソフトウエアを用いて収集します。

特にバイオテクノロジーのアプリケーションとしてこのマイクロバッチ分析は、タンパク質が凝集しているか、結晶化できるかどうかを迅速に示すことができます。 凝集体が微量でも強い光散乱を示すので結果から凝集体が存在するかどうかがわかります。

図1はminiDAWN(r)に注入されたリゾチーム(Lysozyme)サンプルのフラクションからの結果を示しています。 デバイプロットから指示された注入容量の平均分子量が計算されたものが示されています。 このプロットのY軸の切片から分子量の逆数を、勾配から根平均二乗半径を求めることができます。 半径値の不確実性が事実上計算された半径に等しくなっており、サイズが測定制限範囲より非常に小さいことに注目してください。

図2は分子量とアグリゲーションの影響が定量できるノモグラフを示しています。 強く凝集した材料の少量でもサンプルの重量平均分子量が大きく変化することが直ちに明らかになります。 マイクロバッチの手法を行うのは比較的簡単です。 実験上で最も重要なことはサンプル数百マイクロリットルの全量を注入することができることです。 勿論、サンプル自身は回収できます。そして最適の実験条件としては注入量は500-700μLです。

デバイプロット

図1:デバイプロットにより1本のスライスラインの分子量を示しています。

分子量とアグリゲーションの関係

図2:分子量とアグリゲーションの関係を鮮やかに図示したノモグラフ。ここで10量体が2%あると分子量が20%変わることがわかります。

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