遺伝子組換による抗体の製造において、最も大きな問題点はそれらが凝集しやすい点であり、これは服用者に対し副作用となる免疫反応を引き起こす可能性があるということです。 遺伝子組換抗体における凝集を抑える手法を確立することは、現在最も重要なテーマとなっていますが、UV及びRI検出器では高分子領域における感度不足のため、明確な情報が得られませんでした。 高分子領域で高感度分析が可能な多角度光散乱検出器DAWN(r)DSPは、凝集の測定方法の確立において非常に有益な手段といえます。 グリコシル化抗体製剤をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)て測定すると未知のピークが存在することが確認されていますが、既存の液体クロマトグラフィーでは感度不足のため推測の域を出ませんでした。 ここでminiDAWN(r)を組み込むことにより上記の問題は解決しました。
図1:サンプル注入量275μgの場合、重量絶対分子量(Mw)は197,000を示しますが、1.2μgの場合Mw783,000とほぼ4倍の値を示します。 従って凝集体は4量体と推定されます。また、グリコシル化抗体製剤は単量体でも多分散であることがわかります。
図2:凝集を定量するための重要なパラメータである第2ビリアル係数(A2、抗体の溶媒との親和性は、バッチ法による光散乱強度の測定から算出されます。