本ノートではDAWN(r)DSPを用いて15角度の散乱光強度のバッチ測定を行いました。
これらの測定から迅速に絶対分子量、根平均二乗(rms)サイズ、第2ビリアル係数を求めることができます。
水系のサンプルは、溶媒のコンタミネーションを特に受け易いことが知られています。
これらのバッチ測定には、20mlの使い捨てシンチレーションバイアルが用いられました。
数濃度のサンプルについて15角度の散乱光強度が測定され、次の式から分子サイズz、分子量Mw、第2ビリアル係数A2が求められます。
K*c/Rθ= 1/MwP(θ) + 2A2c
ここで1/P(θ)=1/(16/3)π2/λ2zsin2(θ)、Rθは散乱角度θにおける測定された還元レーリー比であり、cはサンプル濃度でK*は光学定数です。
DAWN(r)DSPバッチ用ソフトAURORAを用い、重量平均分子量Mw、z-平均根平均二乗半径z、そして第2ビリアル係数A2を求めるためジムプロットを作図します。
二つの多糖類プルラン(Pullulan)分子量400,000(P-400、図1)と200,000(P-200、図2)についてジムプロットの作成を行いました。
それぞれ4濃度のサンプルを調整し測定に用いられました。
ジムプロットの作成と、絶対分子量とrms半径が数分で求められます。
DAWN(r)多角度光散乱光度計はその半導体電気系により短時間に数千回の測定を行い、ノイズの大きいデータを捨て、ゴミの影響を最小にし、また15散乱角度のためゼロ濃度への正確な外挿ができ、ゴミの影響が大きい低散乱角度での実際の測定を避けています。
この報告により、歴史的に光散乱法を用いてキャラクタリゼーションを行うのが困難であったサンプルの正確な測定が、簡単にそして迅速にできることを証明しています。
図1:多糖類プルラン(Shodex)分子量400,000(P-400)のジムプロット
図2:多糖類プルラン(Shodex)分子量200,000(P-200)