シリコーン:ポリジメチルシロキサン

ポリジメチルシロキサンは世界で最も普及しているシリコーンです。 利用範囲もコンタクトレンズや医用器具からエラストマー、防水剤、潤滑油、耐熱タイルまで幅広く使用されています。 これら全ての応用製品について、重量平均分子量と分子量分布が製品の性能と密接な関係を持っています。 多角度光散乱(MALS)検出器DAWN DSPをサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)に接続することにより、標準試料を用いたカラムキャリブレーションを行うことなく分子量を決定することができます。 今回の報告は、Wyatt社の多角度光散乱検出器DWAN DSPと濃度検出器として干渉型屈折計Optilb DSPを用いて、ポリジメチルシロキサンをトルエン溶媒中でSEC測定しました。

図1は、上が90°での光散乱検出器の信号、下が屈折計(Optilab)の信号を用いたポリジメチルシロキサンのクロマトグラムです。 屈折計の信号が負であるのは、トルエン中でポリジメチルシロキサンの屈折率増分(dn/dc)が負であるからです。 屈折計の出力信号のポラリティーが逆の場合でも、光散乱検出器の信号はプラスとなります。 なぜなら光散乱の信号はdn/dcの二乗に比例するため、出力信号がプラスとなるからです。 DAWNとOptilabのデータを組み合せると、ポリマー構造や溶出時間についての仮定を一切設けることなく、ポリジメチルシロキサンの絶対分子量を測定できます。

図2に、ポリジメチルシロキサン、および同じ分析条件で測定した分子量20万のポリスチレン標準試料の測定結果を示しました。 ポリスチレン標準試料は通常SECでカラムキャリブレーション用標準試料として頻繁に使用されます。 たとえポリジメチルシロキサンやポリスチレン標準試料が直鎖状ポリマーであっても、この2つのポリマーは同じ溶出時間での分子量が異なります。 もしポリスチレンをキャリブレーション用標準試料として使用していると、ポリジメチルシロキサンについては誤った分子量を測定していたことになります。 この結果からポリマー標準試料を用いたキャリブレーションを必要とせずに、ポリマーの絶対分子量を決定できるMALS は優れた能力を持っているということがいえます。 これは標準試料と測定ポリマーが明らかに同じ分子構造を持っている場合であっても同様です。

ポリジメチルシロキサンのSECクロマトグラム

図1:ポリジメチルシロキサンのSECクロマトグラムです。上はDAWN DSP、下はOptilab RIの信号です。

DAWNでポリジメチルシロキサンとポリスチレン標準試料のそれぞれ分子量と溶出時間を重ねあわせてプロット

図2:DAWNでポリジメチルシロキサンとポリスチレン標準試料のそれぞれ分子量と溶出時間を重ねあわせてプロットしました。 通常のカラムキャリブレーションでは大きな誤りが発生することが分かります。

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