ヘパリンのキャラクタリゼーション

ヘパリンは、抗血液凝固剤または抗血栓剤として知られています。 動物の組織から得られるもので、化学的には直鎖の多糖類です。 一時、ヘパリンは均質的な物質ではなく、分子量5,000以下から30,000以上までの分子の混合物と考えられていました。 ヘパリンは、化学的または酵素的に分解されて低分子量ヘパリンが得られ、この低分子量ヘパリンは優れた薬理作用を示します。

低分子量ヘパリンは、固有の変異性、多分散性があるので、FDA(U.S. Food and Drug Administration)で詳しく調べられています。 以前は相対法によりキャリブレーション用の標準を用いて測定されていましたが、現在では、SEC-MALS の利用により、溶出時間や溶媒中での構造を気にすることなく、低分子量ヘパリンの特性を直接測定することができるようになりました。

American Home Products社の子会社である、Scientific Protein Laboratories(Waunakee, WI)によって、市販の低分子量ヘパリン3種が分析されました。 測定条件は次の通りです。

ポンプ Waters 510
屈折率検出器 Waters 401
カラム Shodex OHpak SB-803 HQ
ガードカラム Shodex OHpak SB-G
光散乱検出器 Wyatt miniDAWN(3角度)
溶離液 0.1M酢酸アンモニウム
dn/dc測定 Wyatt Optilab DSP

詳細については、Analytical Biochemistry 245, 231-241(1997)をご参照ください。 図に示した結果から、異なった分解過程によって製造された3種類の低分子量ヘパリンの差が、miniDAWN によってはっきりと測定されました。 Wyatt Technology社のソフトウェアであるASTRAを用いて、3種類の低分子量ヘパリンの微分分子量分布が表示されています。

3種類のサンプルのうちの1つをASTRAで表

図1:3種類のサンプルのうちの1つをASTRAで表示しました。miniDAWNとRIとで異なる応答が見られます。

微分分子量分布

図1:微分分子量分布により3種類のサンプルの分解プロセスの差による違いがわかります。

ページトップへ