水溶性高分子の分子量標準として一般的に使用されているPullulan(Shodex STANDARD P-82)をDAWNを単体で用いて、Zimm plot測定(バッチ)により重量平均分子量を求めました。 Zimm plot 測定は分離操作をせず、サンプルそのものの平均分子量を直接求める方法です。
まず0.1%~0.25%の間で5濃度のサンプルを調製し、次に送液ポンプ、注入バルブ、DAWNの順に配管された分析装置に、各濃度のサンプルを2mL注入しました。 散乱強度をフローセルの周りに、角度の異なる位置に配された18個のフォトダイオードで同時に測定し、図1に示すような、各濃度における検出器の出力を記録しました。 収集された18角度のデーターから、専用ソフトASTRAを用いて、図2に示すようなZimm plotを作成し、平均分子量を得ました。
図1にPullulan Mw=47,300を 50mM NaNO3溶媒で測定した時の応答を示します。
図2にそのZimm plotを示します。 0.2μmのディスポーサブルフィルターをシリンジの先に取り付け、サンプルを直接、装置に注入できるため、ゴミの粒子による妨害を最小限におさえられ、ノイズの少ない安定した測定ができました。
DAWNを用いないで、一般の散乱検出器を用いる方法では、シンチレーションバイアルを使用するため予めゴミを徹底的に除去する必要があります。 また、1濃度のサンプルにつき10点以上の角度で測定を繰り返す必要があるため、安定した散乱強度を測定するにはかなり長い時間を要しています。
多角度で同時に測定を行うDAWNでは、ノイズが少なく再現性のよいZimm plot測定を、約40分で行うことができました。 ノイズの影響を受けやすい水系の低分子量サンプルでも、安定した測定が行えます。